ここでは比較的相談の多い足の親指の痛みについての説明とその対処法を書きました。

 すねや足の裏の筋肉の筋筋膜性疼痛症候群(きんきんまくせいとうつうしょうこうぐん)

  足の親指の痛み

目次

 1.類似の症状を持つ他の疾患
 2.すねや足の裏の筋肉の筋筋膜性疼痛症候群とは
 3.前脛骨筋の筋筋膜性疼痛症候群
 4.長母指伸筋の筋筋膜性疼痛症候群
 5.短母指屈筋の筋筋膜性疼痛症候群
 6.長母指屈筋の筋筋膜性疼痛症候群
 7.足の親指の痛みの対策 その1
 8.足の親指の痛みの対策 その2
 9.足の親指の痛みの対策 その3


類似の症状を持つ他の疾患

  長母指屈筋の筋筋膜性疼痛症候群:足の親指の痛み(裏側)
  痛風:足の親指の付け根の痛み(激痛)、腫れ、発赤、熱感
  巻き爪・陥入爪(陥入創)
  足の親指の裏にできた胼胝(タコ)
  ターフトゥ


すねや足の裏の筋肉の筋筋膜性疼痛症候群とは

  すねや足の裏の筋肉に起こった筋筋膜性疼痛症候群です。すねや足の裏には足の親指に痛みを起こすいくつかの筋肉があります。それらは
  @前脛骨筋(ぜんけいこつきん)   A長母指伸筋(ちょうぼししんきん)
  B短母指屈筋(たんぼしくっきん)  C長母指屈筋(ちょうぼしくっきん)
などです。

すねの筋肉と疼痛域

  上図はすねから始まっている筋肉のうち、足の甲に痛みを出す3つの代表的な筋肉です。これらのうち前脛骨筋(ぜんけいこつきん)長母指伸筋(ちょうぼししんきん)は親指にも痛みが起こります。長指伸筋(ちょうししんきん)は親指ではなく第2〜4指に痛みを起こします。これらの痛む場所には個人差があり、人によっては足の甲の痛みは感じられず、指の痛みだけを感じる場合もあります。

  また下図は足の裏にある短母指屈筋(たんぼしくっきん)とその痛みの出る領域です。この筋肉からの痛みは親指の裏面と内側面、そして親指の付け根の裏面に出ますが、さらに第2指にまで及ぶこともあります。

短母指屈筋と疼痛域

  次の図は長母指屈筋(ちょうぼしくっきん)の疼痛領域です。この筋肉からの痛みは親指の裏面と親指の付け根の裏面に出ます。

長母指屈筋と疼痛域

前脛骨筋の筋筋膜性疼痛症候群

  この筋肉については「足の甲の痛み」で詳しく述べていますが、歩行時の踵から着地する時にいきなり足の裏がバタンと地面に着かないように、この筋肉は伸ばされながら足にブレーキを掛けます。このように筋肉は伸ばされながら働くときに特に損傷されやすいことが分かっています。もちろん縮みながら収縮する場合でも損傷を受けることはありますが。

  第4趾や第5趾の浮き指、あるいは外反母趾などの根本的原因である距骨下関節の過回内が起こると、通常以上にこの筋肉にストレスが掛かりますので、筋筋膜性疼痛症候群を起こしやすくなります。特にウォーキング、ジョギング、ランニング、サッカー、クラシックバレエなどのようにこの筋肉を酷使しやすいスポーツやダンスを行っている人が、距骨下関節の過回内(バレエでは「ローリング」と表現される)を起こしやすい足を持っている場合にはこの筋肉は通常以上にダメージを受けます。

  痛みは足の甲から親指の背面に感じられることが多いですが、人によると甲の痛みはあまり感じずに、親指にのみ痛みを感じる人もいます。痛みで正座がしづらい場合もあり、その時には足の甲が床に当たっているのが痛みの原因であると勘違いすることがあります。

矢印 足の親指の痛みの対策


長母指伸筋の筋筋膜性疼痛症候群

  この筋肉は足が踵から着地する時に、いかなりバタンと足の裏が地面に着かないようにブレーキを掛ける前脛骨筋(ぜんけいこつきん)の働きを助けます。しかし距骨下関節の過回内が起こると、この筋肉も前脛骨筋と同様に過剰に働かされることがあります。

  痛みは足の甲の内側から親指の背面にかけて出ますが、ひどくなると足首の前面まで痛みが及ぶこともあります。中学・高校生がスポーツを行った後にこれらの筋肉の筋筋膜性疼痛症候群が起こって足の甲や親指が痛むことがあり、「成長痛」という名前で片づけられることもありますが、実際は「成長痛」と呼ばれるようなあいまいなものではありません。

矢印 足の親指の痛みの対策


短母指屈筋の筋筋膜性疼痛症候群

  痛みは親指そのものよりも親指の付け根の内側と下側に強く出ます。体重を掛けない時には痛みませんが、歩くと痛みを感じます。親指がけいれんを起こすこともあります。

  外反母趾の場合、親指の付け根が赤く腫れて(腱膜瘤またはバニオンといいます)、靴を履いて歩く時に痛みが出ることがあります。しかし靴を脱いで歩くと痛みはでません。靴を脱いでも痛い場合、原因は腱膜瘤ではなくて短母指屈筋の筋筋膜性疼痛症候群だと考えた方がよいです。

  デコボコ道や左右に傾斜した道で歩いたり、走ったりするとこの筋肉が使われ過ぎて筋筋膜性疼痛症候群を起こすことがあります。また左右への動きの激しいダンスを行っている時にこの筋肉を痛めることもあります。

  さらに爪先のきつい靴、底の硬い靴、傾斜の大きい靴(ハイヒール)を履くことは、足指の運動を妨げるためこの筋肉に負担がかかり、やはりこの筋肉の筋筋膜性疼痛症候群の原因になることがあります。

  第1中足骨が短かったり(モートン足といいます)、第2中足骨が長すぎるとこの筋肉に負担が掛かって筋筋膜性疼痛症候群を起こすことがあります。また距骨下関節が過回内を起こす場合にもこの筋肉が過剰に働かされて筋筋膜性疼痛症候群になることがあります。

矢印 足の親指の痛みの対策


長母指屈筋の筋筋膜性疼痛症候群

  痛みは親指の下面や親指の付け根の下面に出ます。またこの筋肉がけいれんを起こして、こむらがえりのような症状が起こることがあります。

  砂地などの不安定な土地や、デコボコの多い地形、左右に傾斜している地形を走行したりすると、この筋肉が過度に使われて筋筋膜性疼痛症候群を起こす場合があります。また底の硬い靴や摩耗した靴を履いて走行するとこの筋肉が通常以上に働かされます。

  第1中足骨が短かすぎる場合(モートン足)や第2中足骨が長すぎる場合にはこの筋肉に負担が掛かり過ぎます。また距骨下関節の過回内が起こると親指は不安定になり、これを安定化させようとしてこの筋肉は通常以上に働かされ、筋筋膜性疼痛症候群を起こすことがあります。

矢印 足の親指の痛みの対策


足の親指の痛みの対策 その1

  足の親指の痛みの対策は2つのことを行わなければなりません。ひとつはすでに発生している筋筋膜性疼痛症候群に対するアプローチで、もう一つはそれを起こしやすい足の構造に対するアプローチです。後者にはテーピングを使う方法と足底板を使う方法があります。

  筋筋膜性疼痛症候群に対する処置は専門家に任せた方がよいですが、緊急時に自分で行う方法を示しておきましょう。方法は前脛骨筋、長母指伸筋、短母指屈筋、長母指屈筋のうちで痛みを起こしている筋肉を見つけてマッサージし、その後筋肉のストレッチを行えばよいです。

  前脛骨筋と長母指伸筋は両手の親指か、反対の足の(かかと)を使ってマッサージします。その後に足首を両手を使ってしっかり伸ばすか、正座をしてストレッチをします。

すねのマッサージ すねのマッサージ
すねのマッサージ

すねのストレッチ すねのストレッチ
すねのストレッチ

  短母指屈筋も手の親指で揉みほぐしてもいいですが、床に置いたゴルフボールの上に足を載せてマッサージをするという方法もあります。その後足の親指を反らしてストレッチを行います。

マッサージ ストレッチ
マッサージ ストレッチ

  長母指屈筋も手の親指で直接マッサージする方法の他に、ふくらはぎを反対の膝頭に当てて膝頭で筋肉をほぐすという方法もあります。ストレッチは下肢を伸ばした状態で、足の親指にタオルを引っかけ両手でタオルの両端を引っ張ります。

マッサージ
マッサージ

足の親指の痛みの対策 その2

  次に距骨下関節の過回内を防止するテーピングを貼るのもよいです。これは専門家に貼ってもらいましょう。「足の親指の痛みの対策 その3」で紹介する足底板とこのテーピングを併用すると効果的です。



足の親指の痛みの対策 その3

  次に構造的および機能的に優れた靴を購入し、その中に足底板を入れて、これら筋肉にかかる負担を最小限にしましょう。仕事でパンプスを履かなければならない人は、ヒール高を3センチまでにし、その中にパンプス用の足底板を入れておいてください。
  スポーツ選手はスポーツシューズの中にウォーキングシューズ用足底板を入れておくと痛みに対する対策としてだけではなく、運動能力の向上が期待できます。バレエをされている方はふだん履いている靴にこれを入れて足の筋肉にかかる負担を最小限にしましょう。

ウォーキングシューズ用足底板
パンプス用足底板
パンプス用足底板

  家の中では靴を脱いでいますので、その代わりに室内で履ける特殊なサンダルを利用するのが良いと思います。また足の捻じれの影響を極力少なくするテーピングを貼るのも良いでしょう(「足の親指の痛みの対策 2」を参照)。

サンダル
サンダル
特殊なサンダル

 
 
 
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